生命保険料控除の改正について

早いもので、今年もまた年末調整の時期がやって来ました。

年末調整や確定申告で申告できる所得控除のひとつに生命保険料控除があります。

この控除は、平成22年度の税制改正で改正されていましたが、ついに今年の年末調整等から適用されます。

今回は、改正された生命保険料控除について、変更点や注意点等ご説明いたします。

 

1.変更点は?

改正前の生命保険料控除は、一般生命保険料控除個人年金保険料控除の2つの控除がありましたが、改正後は新たに介護医療保険料控除が創設され、3つの控除となりました(図1参照)。

従来、一般生命保険料控除の対象とされていた医療保険・がん保険・介護保険などが一般生命保険料控除から独立して「介護医療保険料控除」となった形です。

1つ控除が増えた分、各控除額の計算方法も変更となり(表1参照)、控除限度額の最高額は所得税が5万円から4万円に、住民税は3.5万円から2.8万円に引き下げられ、これら3つの保険料控除を合算した限度額は、10万円から12万円までに引き上げられました。なお、住民税の限度額は7万円で変更ありません。

 

図1 改正前後の生命保険料控除(画像をクリックすると大きくなります)

表1 改正後の生命保険料控除額の計算方法

所得税

住民税

年間の支払保険料等

控除額

年間の支払保険料等

控除額

20,000円以下 支払保険料等の額 12,000円以下 支払保険料等の額
20,000円超40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円 12,000円超32,000円以下 支払保険料等×1/2+6,000円
40,000円超80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円 32,000円超56,000円以下 支払保険料等×1/4+14,000円
80,000円超 一律 40,000円 56,000円超 一律 28,000円

 

2.全ての保険契約に適用される?

新しい生命保険料控除は、平成24年1月1日以後締結した保険契約から適用されます。

したがって、昨年以前に締結した保険契約の保険料については、改正前の生命保険料控除が適用されます。

ただし、平成24年1月1日以後に更新や特約付加等をした場合には、変更日以後の部分については改正後の生命保険料控除が適用されますのでご注意ください。

 

実際には、生命保険会社等から送付される保険料控除証明書に、新旧どちらの証明書に該当するのか記載がありますので判断に迷うことはないでしょう。記載された内容によって、改正前か改正後の生命保険料控除で申告してください。

ただし、新旧両方の控除証明書がある場合は、少々注意が必要です。

 

3.新旧両方の控除証明書がある場合の注意点

新旧両方の控除証明書がある場合は新旧どちらか一方の控除額を申告する方法、又は、新旧の各控除額を合算して申告する方法のどちらかを選択することができます。

それなら合算したほうが多く控除出来そうで有利と思うかもしれません。

しかし、合算した場合は旧制度ではなく、新制度の最高限度額(所得税4万円 住民税2.8万円)が適用されてしまいますので、合算したほうが有利とは限りません。

 

(具体例)

例えば、年間支払保険料が新契約5万円、旧契約7万円の一般生命保険料の控除証明書があったとしますと、各控除額は次のようになります(説明の便宜上、所得税の控除額のみ記載します)。

 

新契約5万円の控除額 32,500円 ※新制度で計算(5万円×1/4+2万円:新制度最高限度額4万円)

旧契約7万円の控除額 42,500円 ※旧制度で計算(7万円×1/4+2.5万円:旧制度最高限度額5万円)

 

まず、合算しない場合を見てみますと、より控除額の多い旧制度の42,500円(42,500円>32,500円)で申告できます。

一方、これらを合算して申告した場合を見てみますと、控除額の合計は75,000円(32,500円+42,500円)となりますが、合算した場合は新制度の最高限度額の4万円が適用されますので、控除額は40,000円までとなります。

したがって、この例ですと合算しないほうが2,500円多く控除出来て有利ということになります。

 

4.最後に

判断が難しそうだと感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、年末調整の場合、会社から配布される「給与所得者の保険料控除申告書」という用紙上で、有利不利が判定できるようになっています。

詳しい控除証明書の見方や計算方法など、わからないことがありましたら、お近くのファイナンシャルプランナー又は税理士等にご相談ください。

執筆者:葛西 晶子

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