会社の勧める団体保険は本当に得?

給与所得者がリスクマネジメントを行う場合、その手段の選択肢の一つとして、勤め先の『団体保険制度』が考えられる。

しかし、表題にもある『団体保険が得か?』という問いに対する『正しい解』を得るためには、【計算する】という仮定を踏むことが必須となる。

まず一般的に『グループ保険』と呼ばれることの多い『団体定期保険』を活用した死亡保障の付保について、※表1を見ていただきたい。

 

※表1.死亡保険金1,000万円あたりの月額保険料(男性)

被保険者の年齢

タイプA

タイプB

タイプC

31~35

¥800

¥1,600

¥3,000

36~40

¥1,000

¥1,800

41~45

¥1,300

¥2,300

46~50

¥1,900

¥2,900

51~55

¥2,700

¥3,900

56~60

¥4,300

¥6,000

配当

なし

あり

あり

契約期間

70歳まで

75歳まで

60歳まで

契約限度額

4,000万円

6,000万円

4,000万円

備考

男女同料金

男女別料金

男女同料金

さて、あなたは、表1のタイプAからCのどの団体保険制度に魅力を感じられるであろうか。もちろん、どのタイプでもなく一般の個人保険商品の方が魅力的だという選択肢でもよいだろう。ただ『自分にとって、どれがお得か?』に対する解を得るためには、比較するためのデータを抽出し、比較計算が必要になるということだけは、ご理解いただけたのではないだろうか。

 

では、自身の勤め先の団体保険制度を『利用すべきか?』の解を導き出すための手順と、各手順における団体保険制度の注意点を書こう。

 1.必要保障額の計算

多くのガイドがこれを手順1としていますし、私もこれが最初に必要になると考えます。商品選択にフォーカスする前に、リスクマネジメントによって守るべきモノの『経済規模』を計算することが何よりも重要だ。(その手順は割愛します)

本項における団体保険制度の注意点は、『契約限度額』となる。多くの団体保険制度は、発足時に設計してから放ったらかし状態にある。その弊害もあり、契約限度額が今の時代に即さず低い金額のままの制度が多いと感じる。一部上場企業でも最高2,000万円までなどという団体まであるが、担当者に知識がなく、経営陣の関心が低いこともあり制度改革は容易ではない。また、契約者も知識がなく計算をしないまま『団体制度の最高額に加入すれば安心だ』などと安易に考えてしまいがちなので、『団体保険制度の大きさで守れるのか?』を最初にチェックしていただきたい。計算の際、公的な遺族年金制度や、勤め先の死亡退職金・弔慰金・その他遺族補償制度の確認も忘れないようにしたい。

 2.加入タイミング

一般的には年に1回しか契約タイミングがなく、また責任開始(保障のスタート)は、契約の2~3ヶ月後となります。よって保障が必要と感じてから保障を得るまでの『待機期間が長い』ことが特徴となる。

特に小さなお子さんを守るために死亡保障を必要とする方は、まず、すぐに保障付保できる一般商品で契約し、その後『団体保険に切り替えるか?』を検討することをお勧めしたい。ネットや店頭加入が容易となり、ドライな感覚で契約・解約できるようになったことを活かして欲しい。

 

3.保険料比較と月次キャッシュフロー

実際に加入できる団体保険制度は、1ないし2制度となる。2制度あるケースは会社と労組など異なる団体がそれぞれ制度設置している場合だ。これに自分が設計書を取り寄せられる一般商品との比較になるが、家計の月次キャッシュフローがカツカツの家計は、半年払いや年払いを選択できる一般商品の方が家計管理面で使い易くなる事があるので、単純に保険料だけでの比較には注意が必要である。

特に配当ありの団体保険制度は、給与天引きされる保険料が大きくなりやすく、シングルインカムの子育て世帯だと月次CFの圧迫要因となり易い。また年1回の配当を貯蓄に回すルール作りも面倒であるため、実際は使途不明金として消えていくことも多いようだ。

 

大まかな手順は以上だが、実際に知識と経験のない方がスムーズに手順を踏むのは容易でないかもしれない。そんな時は、是非ともプロのFPにサポートを求めていただきたい。コストがかかることがハードルになると思われるが、依頼時に『後払い』『成果次第で支払い』という条件付のオーダーをすることでハードルは下がると思われる。

 

紙面の関係上、団体定期保険以外のグループ保険制度については、またの機会に。

執筆者:藤原 成久

一般的な家計アドバイスではなく、お勤め先の福利厚生制度などをしっかりとご確認いただいた上で、家計をサポートすることを心掛けております。
『これを機に社内の制度も活用したい』と思われた方は、私どもにお声掛けくださいませ。