「知らないと損する!!マイホームとお金の話」

私はFPです。そして1級建築士です。どちらが本業ですかと聞かれれば、今はFPです。

この業界の中ではとても変わった経歴の持ち主だと言うことは自分でも自覚しています。

30代までは(建築)デザイン関係の仕事をしていましたが、それ以後は縁あって180度方向転換してひたすらFPの道を突き進み、各種セミナーをこなし年間100組以上の資産設計を行っています。山陰で初のファイナンシャル・プランナーの組合を設立し、専門学校のFP専攻コースで講師もしています。不思議なもので、今度はFPとして再びマイホーム関係の仕事に携わる機会が増えました。資金プランとデザインプランの両方が分かるFPとして随分この分野の相談が増えてきたのです。家づくりセミナーだけでも年間30回は行っているし、同じく年間30棟前後のマイホームに付いて、初期の資金プランニングから最終的な引き渡しまで立ち合っています。これは地場の工務店の中で、最も施工戸数の多い会社とほぼ同じレベルです。

今回、マイホーム関係の執筆依頼を受けた時、軽い気持ちで引き受けました。私の実務経験がこれから家を建てる消費者の方に少しでも役に立てばと考えたからです。しかし原稿を書き始めて少し後悔しました。何故なら私のマイホーム・コンサルティングの手法が業界の中では一風変わっているからです。正確に言えば、FPの方からみれば想像もしていない手法ですが、実は消費者からの要望をひとつずつ叶えていったら辿り着いたベストな方法なんです。だから山陰の地方都市で年間30回も家づくりセミナーを行っても参加者が集まるし、現に私にコンサルティングを依頼する人が後を絶たない状況です。繰り返しますが、この方法は業界の常識に反しています。但し、この場合の「常識」とは、あくまでも売る側の一方的な「常識」である点に注意が必要です。誤解無い様に言いますと、私は地元の建築業者とは仲良くやっています(と思っている)。それは、私が直接、顧客からコンサルティング契約を貰っているからで建築業者へは、顧客を紹介する立場だからです。決して、建築業者から仕事を貰っている訳では無く、これが私が消費者から信頼されているひとつの理由ではないでしょうか。

さて、自己紹介はこれぐらいにして、それではひとつ現実的な事例を紹介しましょう。これは家づくりの最初に必ず直面する「トラブル」です。まず施主は家づくりに「予算額」を設定していると思います。それは今の生活費と将来の住宅ローンの返済額から主婦の感覚としてイメージされています。建物予算額としては大体2,000万円から2,500万円前後です。一方、FPとしては、それではとライフプラン書及びCF表でその予算が可能かどうか検討することになります。そして家計の見直しや保険の見直し、教育資金、住宅ローンのプランニングを行います。予算が取れる様に改善できれば、FPとしてはここで一見落着です。

FPに相談することによって取り合えず最初の不安は取り除かれます。

次に、施主に「それではどんな家が欲しいですか?」と尋ねてみます。そして各階に欲しい部屋とその広さをリストアップして貰います。これは大体で結構。一般的なパターンとして、1階にリビング(6帖)、ダイニング(8帖)、キッチン(4帖)、玄関、風呂(2帖)、脱衣洗面(3帖)、トイレ(2帖)時として和室(両親の部屋)8帖、2階に主寝室(6帖)、子ども部屋(6帖×2)、ウォークインクローゼット(6帖)、トイレ(1帖)・・・という感じでしょう。これらには階段、収納、廊下、パントリー等は含まれていなくて結構です。

私の経験上、これらから最終的にプランされる家の延床面積は約50坪以上、総工事費にすると地盤改良、基礎工事費まで含めれば約3,5000万円~4,000万円になってしまいます。さて如何でしょうか。両者には1,000万円~1,500万円の差があります。この様なことは家づくりの最初に一般的に起こっていることではないでしょうか。

家づくりを進める為には、次のステップとしてこの2つの金額の差を解決しなければなりません。この2つの金額は、「出せる予算2,500万円」と「欲しい家3,500万円」という共に現実です。前者に拘るのがFPの立場ですが、一方、見学会を幾つか見て建築業者を決めることから家づくりに入った方は、後者を優先する結果になることが多いのではないでしょうか。だからと言ってこの段階で「あなたは2,500万円しか出してはいけませんよ」と言うのはFPの本来の目的である施主の夢を叶えることになりません。

この金額の差を解決するには、簡単に言えば、予算を増額し、一方、欲しい家の何かを諦めるということになります。ちなみにその為には2つの取組方があります。一つはFPと建築の専門家(ハウスメーカー、工務店、建築家)がネットワークを組んで対処する方法。資金の問題はFPが対処し、技術的な課題は専門家にお任せする方法で一般的にはこの方法が取られているのではないでしょうか。もう一つの解決策は一人の専門家が対処し両者のバランスをとる方法。

私は出来れば後者の方法をお勧めします。その理由は3つ・・・

①    資金プラン・デザインプランそれぞれ優先度・重要性は一人のプランナーが中立な立場で判断しないと決定できない。

②    消費者には建築業界に対する不安感が根底にあって、出来れば業者との接触は避けたいと思っている。(だからFPに相談に来ている)

③    まだひとつの建築業者に絞って相談するのは時期尚早。

特に①に付いては、人生の3大資金(住宅資金・教育資金・老後資金のことで共に3,000万円以上の費用が掛かる)が密接に関連している以上、住宅資金といっても教育資金や老後資金のプランニングも行う必要がありますが、これらの優先度とデザイン上どの部屋を減らすかなんていう比較判断は、ひとりのプランナーが行わない限り到底判断出来ないことです。

マイホームカウンセリングの極めて初期段階の様子を書きましたがここまで読んだ方は、その難しさがお分かり頂けたと思います。そうマイホームのプランニングはとてつもなく難しいのです。消費者から見ればその様な相談をする先が無いから困っているのであって、そこにFPが活躍できる新たなマーケットが存在しています。

現実的な問題を直視すれば、施主の不安に応えようと思うとFPの知識だけではなく建築の知識や業界の情報も必要です。私はそれこそまさにビミョウ―なバランス感覚が必要な職人芸だと思っています。今の日本にはこの様なカウンセリング手法やそれを表現する適当な言葉が存在しません。取り敢えずマイホームマイスターという言葉でその立場を表現しています。そして日本全国で家づくりの正しい知識を伝える為に家づくりセミナーを開催しています。

一般社団法人マイホームマイスター協会 http://www.myhome-meister.jp/

 

 

執筆者:萬代 幸次

金融商品・生命保険・不動産の販売等は行っていません。山陰では唯一の相談業務を主とするコンサル系FPです。マイホーム取得に関する相談が最も多く、年間30棟のプランニングに携わっています。またこの際、資金プランとデザインプランの両面からカウンセリングを行う独自のスタイルで好評を得ています。主催する「個人入札」は全国的な広がりを見せ、全国各地で「施主主導の家づくり」というテーマでセミナー講師を行っています。