平成24年度の年金額は2年連続減額改定【2012年2月15日】

 

 

平成24年4月から年金額が改定されます。2年連続して年金額が下がります。4月分の年金、すなわち6月15日支給分から年金額は下がります。では、なぜ減額改定となったのでしょうか。平成11年から13年にかけて、物価の下落により、本来は1.7%年金額を下げるべきところ、特例で年金額が据え置きされた経緯があります。

 

年金額が下がることへの社会的配慮でした。マイナススライドを特例的に実施しなかった水準の年金額(物価スライド特例水準の年金額)が、平成16年改正の年金額を上回る場合は、物価特例水準の年金額を支給する措置がとられています。このため、16年の法改正後も、法改正後の年金額ではなく、物価スライド特例水準の年金額が支給されてきました。

 

物価が上昇していけば、本来水準が特例水準を上回ります。当初は、近い将来、本来水準が上回ると想定されていたのでしょう。平成21年度にはその差は▲0.8%となりましたが、その後、経済状況の悪化により物価は下落し、本来水準と特例水準の開きが拡大してきました。

 

平成23年平均の全国消費者物価指数の対前年比変動率はマイナス0.4%となりました。年金額改定の基となる平成17年の物価水準を100とした場合の指数が99.7となりました。

 

これに基づいて改定されますが、依然として本来水準の年金額よりも物価スライド特例水準の年金額が高額となります。平成24年度も物価スライド特例水準の年金額が支給されることになります。物価の下落により、24年度の年金額は平成23年度と比べて0.3%減額改定となります。

 

なお、マクロ経済スライドは発動されていません。これにより4月からの老齢基礎年金(満額)は786,500円となります。老齢厚生年金も減額となります。特例水準の計算式は(総報酬前の期間分+総報酬後の期間分)×1.031×0.978となります。加給年金額は226,300円、配偶者加給年金額は393,200円、中高齢寡婦加算額 589,900円、その他、振替加算額、経過的寡婦加算額など減額改定されます。障害年金、遺族年金も同様です。

 

特に注意しておきたい改定後の年金額として、障害手当金の最低保障額があります。これは物価スライド率を除いて改定されます。24年度は1,150,200円です。また、特別障害支給金(任意加入中に初診日があった人で障害1、2級に該当する人に支給される)は、物価スライドのみで改定されます。

 

改定後の月額は、1級49,500円、2級39,600円となります。付加年金、死亡一時金は物価スライド対象外とされていますので、年金額は変更されません。なお、在職老齢年金の計算式に改定はありません。注目すべきことは、今年度はさらなる減額改定が予定されているということです。

 

政府は特例水準の解消を盛り込んだ法改正案を今国会に提出予定です。特例水準と本来水準との間にある差(「たまり」と表現されています)は▲2.5%で、これを3年間かけて解消していこうというものです。24年10月に▲0.9%、25年度に▲0.8%、26年度に▲0.8%と年金額を下げる予定です。

 

要するに、「過去に物価が下がったときに年金額を下げなかったので、本来の水準よりも高い年金額が支給されている、過去の累計で7兆円の年金が過剰に給付された、現役世代の年金額確保のため、また世代間の公平を図るために、特例水準を解消する」というのが法案の趣旨です。

 

特例水準の解消との関係で、これまで年金と連動して同じ措置がとられてきた、ひとり親家庭や障害者等の手当の特例水準についても、平成24年度から26年度までの3年間で解消される(減額される)ことになります。今後も物価下落が続けば、物価スライド分も加わり、さらに年金額は下がる可能性があります。

 

逆に、景気向上で物価が上昇すれば、解消幅も縮小されることになります。年金額と合わせて国民年金保険料についても説明しておきましょう。24年度の国民年金保険料は、23年度の保険料より下がりました。国民年金保険料は毎年280円ずつアップし、平成29年4月には16,900円で固定すると法律で定められていますが、いずれの価格も平成16年度価格です。実際の各年度における保険料は、法定された各年度の保険料額に物価や賃金の変動を反映させた保険料改定率(年額の改定率とは異なる)で計算されます。24年度の国民年金保険料改定率は0.964となりました。

 

法定保険料額15,540円×改定率0.964=14,980円(24年度の国民年金保険料)23年度の15,020円から40円減額となります。また、付加保険料は変動することなく同一で400円です。国民年金保険料は口座振替で1年分前納すると割引率が高くなります。口座振替による前納の申込締め切りは2月末日です。

 

年金確保支援法の施行日を今年10月1日とする政令も交付されました。パートタイマーの厚生年金加入基準の見直しなども検討されていますので、新しい情報は見逃せません。

 

※ こちらの原稿は、ファイナンシャルプランナー向けに執筆されたコラムとなっております。

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≪執筆者紹介≫
菅野 美和子
社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー
すがのみわこコンサルティングオフィス所長。女性のための年金相談室主催。
2002年独立開業以来、企業顧問の他、年金セミナーの講師、年金相談員等を務め
てきた。

京都市出身。福岡市在住。
著書 「ねんきん定期便がよくわかる本」((株)BKC)
    「年金、もっと知りたいな」((株)BKC)
    「妻も年金夫の年金」((株)日本生活設計)

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家計のつぼ
執筆者:家計のつぼ