参院選後は再び大相場へ【2013年6月7日】

 

5月23日から始まった株価の急落は歴史的なものになってしまった。日経平均株価はついに4月4日の異次元緩和当日の終値を下回り、下落率も20%に達した。ただ、ヘッジファンドの帝王として知られるジョージ・ソロス氏が「今週から再び円売り・日本株買いを再開した」と7日午後に伝えられ、さらに公的年金の運用を手掛けるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用方針の中期計画の変更について、7日3時から説明会が開かれるというニュースも伝わり、日経平均は1万2548円の安値をつけた後、急反発に転じている。

2カ月か3カ月に1度のメルマガで、短期的な市況解説を書くのもなんだが、日経平均株価はさすがに底値圏に到達したように思う。本日7日は円相場が一時1ドル=95円53銭と前日よりも4円近く円高に振れたにも関わらず、日経平均の下げが26円安とずいぶんと小幅にとどまっていて、「売り枯れ」の印象を強く受ける。ソロス氏が「買い転換した」とわざわざマスコミのインタビューに答えるというのも変な気がする。この人は米国の「陰の政府」といわれるCFR(外交問題評議会)の理事を長く務めた本当の大物で、ポジション・トークとはいえ、そこいらのヘッジファンドのマネージャーとは発言の重みがまるで違う。

本日7日は1カ月に一度の大イベントである米雇用統計の発表も控えていて、株価、為替とも相場のターニング・ポイントになりやすい日柄である。果たして、日経平均、ドル円相場とも底打ち・反転することができるかどうか。まだ14日のメジャーSQという大イベントも残っているので、回転の効いている売り方の勢いを止めることができるか、そこで再び大波乱が予想される。11日には日銀政策決定会合もあり、しばらくは大イベントに振り回される展開にならざるを得ない。いずれにしても、嵐はまだ過ぎ去っていないので、この状態の海に乗り出すことはベテランの投資家でも危険である。

 

●名演技

 

今回の株価の急落は、昨年11月から半年以上も下げらしい下げがなく、株価が一本調子で上げ過ぎた反動によるところが大きい。しかし、一方ではアベノミクスの「第三の矢」である成長戦略があまりにも期待外れで、失望売りを誘ったことも否めない。ただ、成長戦略が期待外れになることは、だいぶ前からわかっていたはずだし、参議院選挙が終わらないと安倍政権も本気を出さないであろうことは、すでにマーケットのコンセンサスにもなっている。安倍総理のライフワークでもある憲法改正を実現するためには、参院選前に少しでも票を失うような毒のある政策は、一切出さないという方針なのだろう。

上げ過ぎの反動は当然としても、このように成長戦略の物足りなさは意図的なものである点を、私は強調しておきたい。つまり、それは参院選で与党が3分の2の議席を確保するための芝居のようなもので、安倍内閣の面々は見事にそれを演じ切ろうとしている。まさに名演技である。

票を失いかねない法人税の大幅減税や雇用改革、農業改革、貸金業法の改正などは、選挙後に衆参で3分の2以上の議席を確実に確保してから、後出しで行なうだろうことは容易に想像がつく。言い換えれば、選挙後に安倍政権は豹変するということだ。

05年の郵政解散相場は、自民党が歴史的な大勝を収めた選挙結果が出た途端、猛烈な外国人買いが日本に押し寄せて本格化した。衆議院で3分の2以上の議席を確保でき、その数の力を背景に構造改革が一気に進むのではないかという期待が高まったからだ。今回は、参議院でも与党が3分の2以上の議席を確保できそうなので、その場合、郵政解散相場と似たような大相場が再現されると私は予想している。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

≪執筆者紹介≫
マネーリサーチ 山本 伸
1962年生まれ。マネーリサーチ代表
85年より、経済ジャーナリスト、株式評論家として、株式、金融情報に関する
執筆活動、および講演活動など幅広く活躍していらっしゃいます。
経済情報誌「羅針儀」を主宰。
株式新聞に「山本伸の株式調査ファイル」を連載中。
著書に、『超円安』(たま出刊)、『甦るジパング』(総合法令刊)、
『60分でわかる株のツボ』(北野誠氏との共著。ベストブック)、
『山本伸が選んだ買いの株67銘柄』(宝島)など。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

家計のつぼ
執筆者:家計のつぼ